三浦屋食堂(東松島市大曲)
石巻焼きそばは、二度蒸しで茶色くなった麺をスープや貝類ダシで蒸し焼きにするのが一般的だが、1960年創業の「三浦屋食堂」は独自のレシピが評判だ。特徴はスープやダシの代わりに大量のもやしを加え、その水分を活かして蒸しあげること。麺とほぼ同量のもやしを太めの焼きそばと一体となりつつ歯ごたえにアクセントが感じられ、箸が止まらない美味しさ。
もやしのほかは豚肉だけというシンプルさも良い。初代の頃は雑貨屋を営みながら、店の一角で焼きそばを焼いていた。「雑貨屋の前は床屋をやっていたので、今も"とこや"と呼ばれることがある」。時代ともに変化しながら商売を営んできて、現店主三浦克之さんで三代目。四代目となる息子とともに厨房に立つ。
「焼きそばはソースを足しながら食べる人が多いですよ」と教わった。目玉焼きを崩して絡めたところにソースを多めに足すと、風味が増してさらに箸が進む。Lサイズを3つもテイクアウトするお客さんもいて、食卓で競って食べる風景が目に浮かぶ。地元を元気にしてきたB級グルメの名店で、どこか懐かしいその味を堪能してほしい。