道の駅 大谷海岸
愛らしいマンボウをモチーフにしたポールサインが目印の「道の駅 大谷海岸」は、三陸沿岸道路大谷海岸インターを降りてすぐ、国道45号沿いに位置する。目の前には、地域住民が行政と幾度も協議を重ねて守り抜いた大谷海岸の美しい砂浜が広がる。JR気仙沼線BRT(バス高速輸送システム)のバス停大谷海岸駅でもあり、かつて鉄道駅であったことを伝えるレールが入り口に埋め込まれている。3月28日でリニューアルから丸2年。「リニューアル前の一年間は、連日早朝から深夜まで仕事におわれていました」と語るのは、就任8年となる駅長の小野寺正道さん。
サラリーマンとして働いてきたが、震災から4年後、自身が生まれ育った大谷海岸への恩返しになるならと駅長を引き受けた。観光地としての道の駅ではなく、地域全体の象徴として、気仙沼のあらゆるものが揃う「オール気仙沼」の道の駅を目指す。館内の産直市場には近くの漁港で水揚げされた鮮魚や乾物などの海産物をはじめ、新鮮産直野菜やオリジナルスイーツ、地酒などのお土産品などが並ぶ。奥には生け簀があり、地元漁師さんが水揚げした珍しい魚が泳いでいることもあるそうだ。大谷海岸は、江戸時代から沖合の定置網でマンボウが漁獲されてきた全国的にも稀な地域。
駅内でも、シンボルキャラクターとしてマンボウが活躍している。なかでも興味深いのは、竜骨を模した曲線状のガレリア通路で展開される巨大プロジェクションマッピング。目の前に立つ人の位置情報をとらえて大きなマンボウが登場する。ほかにも至るところに「隠れマンボウ」がいるので、駅内を散策しながら探してみるのも面白い。本格的な春を迎えるころからの季節は、2階屋外にある小野寺駅長自慢の展望デッキもおすすめ。兼用堤の役目を果たす国道の高さが加わり、大谷の広く青い海を一望することができる。「こんなにいい場所、他にはないよ!」というよろこびの声が、小野寺駅長のやりがいになっているそうだ。