Farmer's table mano(川崎町 小野)
みちのく杜の湖畔公園やのどかな里山が周辺に広がる、ロケーションのいいレストランだ。マーノとはイタリア語で「手」の意味と教えてくれたのは、自ら豚を放牧で育て、調理して提供するシェフの佐藤剛さん。川崎町で生まれ育った佐藤さんは、調理師専門学校を卒業後イタリアンの有名店で働くうちに、改めて食物への関心強くなった。イタリアンでも大切な食材である豚を自ら育てたいと、岩手県岩泉の養豚場で修業したという。
5ヘクタールの放牧農場でゆったりと育てられる豚は、佐藤さんの名前を取って「たけし豚」。今では希少といえる放牧豚を頂けるのが、この店の最大の魅力だ。ランチは、「たけし豚のロースト」と「本日のパスタ」の2種類。どちらも、自家加工したハム(もも肉)やパテなどと、地元の旬野菜が彩を添える前菜盛り合わせが付く。ハムやパテは店内で量り売りも。たけし豚のロースは、脂がさらりとして甘みも旨味もこのうえなく、脂肉の美味しさを再発見できる逸品だ。
この日のパスタは、たけし豚のベーコンと地元産のトマトを使ったトマトソースのパスタ。ベーコンの旨みが際立ち、イタリア産チーズの味わいもたっぷり楽しめる。野菜もこの地域で採れたもので、中には佐藤さんの農園育ちのものも。「農業があるから料理ができる。料理のために農業もやる。食べて喜んでもらえたらうれしい」と話す佐藤さんに育てられた豚や野菜には、食べる人まで自然体にしてくれる豊かなやさしさがある。