医王山 鉤取寺(太白区鈎取)
長寿の神様、福禄壽が祀られているのは、太白山の麓にある医王山鉤取寺です。太白山の太白とは、明星金星をさす中国名で、仙台城から太白山を眺めたときに金星がその山頂に輝くことから名付けられたといわれ、古くから山岳信仰の対象となってきました。まさに仙人姿の福禄壽が祀られるのに相応しい場所と言えるでしょう。重厚な山門をくぐると、手入れされた庭園と2階建ての本堂が目に入ります。仙台空襲で一度は焼失しながらも、再建を繰り返し今の美しい姿を見せてくれています。
本堂の天井画には寺院を火災から守るといわれる龍が、ギロリと見下ろしています。ドキ! こちらは835年に開山したという約1200年もの由緒あるお寺。創建当初は天台宗でしたが、江戸時代に入った1636年に曹同宗に改宗開山したと伝えられています。本堂に祀られる福禄壽像は背が低くて長頭、長い髪をたくわえて左手には杖を持って穏やかな笑みで参拝される人たちを迎えてくださります。もともと福禄壽は、中国の道教の神様で、「福星」「禄星」「壽星」という神秘的な力を持つ3つの星が具現化し、一体となった神様とされています。
福星は幸福を意味し、子どもの繁栄を叶えてくれる。そして禄星は財産を意味し、財運を授けてくれる。そして壽星は長寿を意味し、健康での長生きを与えてくれるわけです。この3つが道教における人生の三大目標「三徳」とされ、中国では、福・禄・壽が具現化した3人の仙人を描いた「三星図」を春節に飾り、一年の幸せを願う風習も残されています。鉤取寺の福禄壽像の横にもその3人の仙人の像が祀られていますので、お参りの際は、ぜひこちらの仙人たちにも手を合わせていただきたく思います。きっと「三徳」の実現を後押ししてくださいます。