喜福山 玄光庵(青葉区通町)
考えてみれば、こうして元気に七福神巡りができるのも健康な体があるおかげ。元気があれば何でもできる、日々の無事こそ宝もの。そんな人間の基礎である健康を守る不老長寿の神様は壽老尊。祀られているのは喜福山 玄光庵です。玄光庵は1523年に若林区新寺の龍泉院の末寺として青葉山に創建された歴史ある寺院。伊達政宗公が青葉城を造営するにあたり現在の地に移りました。また開山堂には三十三体の観音様が安置されていることでも有名です。
本堂の壽老尊は朱塗りの木像で佇まいは静かですが、得も言われぬ迫力を感じました。1984年造営され、胎内には古くから祀られてきた大日如来が納置されていたといいます。壽老尊といえば、微笑みをたたえた翁のイメージでしたが、この壽老尊像を前にするとまるで隠者のような印象を受けました。そして、その見開かれた眼で不徳な部分をすべて見透かされている気がして、ギクリとしたことは否めません。健康を司る神様の前に、少々不摂生だった自分を反省しました。やはり自分で気をつけることは大切です。
そんな壽老尊ですが、中国では南極壽星を神格化した神様とされ、日本でもおなじみの「西遊記」や四大民間説話のひとつ「白陀伝」にも千人として登場するのほどの人気者なのです南極壽星はカノープスと呼ばれる恒星で、日本や中国では限られた時期にしか現れないため、戦乱の世のうちは隠れて姿を見せません。ですが、世の中が平和になると姿を見せ「無病息災「「不老長寿」のご利益を与えてくれるといわれています。人間がやるべきことをやってこそ、お力をくださる神様ということでしょう。壽老尊像を前に感じたことは、まんざら間違いではないかもしれません。七福神巡りの最後は、とても穏やかな気持ちになる神様でした。