赤坂農園(東松島市大塩)
東松島市の赤坂農園には、果樹園やハーブ園、綿花苑があり、時期によりさまざまな収穫体験ができる。暑さが和らぐ9月半ばころは、栗拾いシーズンだ。栗園では、丹波や筑波などが立派に枝を張っている。一方、新に植えた丹沢や天津甘栗などの若木も、イガを付けるようになった。イガは、中の栗が成長すると一部が割れて下に落ちる。そのイガの割れ目を底の厚い靴で広げて、火ばさみで中の栗をつかむ。「熊もいのししも、たぬきも、イガがあるために栗を食べません。
人間だけが楽しめる秋の味覚です」と赤坂農園代表の赤坂芳則さん。人間は、靴と火ばさみがあるおかげで、しゃがむ必要もなく、「棚からぼたもち」とばかりに、らくに収穫できるのだ。もともとここは、山林を開拓した牧場だった。東日本大震災が発生した際、被災沿岸部に土砂を無料提供して、総面積も6ヘクタールの平坦な農地に変貌したという。2013年以降は、被災沿岸部の綿花栽培プロジェクトを引き継ぎ、「東北コットン」を育てている。
例年、11月の最終土曜日に行われる「綿つみ収穫祭」には、宮城県はもちろん、福島や関東などから多くの人々が訪れる。あの日から、みんなで頑張ってきたことを、あらためて思い出した」「震災を忘れないためのイベントに関わることで、被災地や復興に貢献できれば」という声が聞かれるそうだ。また、「綿をつむという希少な経験ができた」「綿花畑を今までにみたことがなく、とてもきれいで感動した」といった感想も。得難い体験ができる収穫祭は、多くの人の心にまたとない思い出を残しているようだ。