田舎蕎麦×三陸ノ恵ミ やまなし(青葉区一番町)
長方形の板に盛り込まれた、見るからに"黒くて太い、ワシワシの田舎そば"ところが、意外に舌触りものど越しも良く、噛むほどに香りや旨みが口の中に広がって美味しい。「天童で手打ちし、毎日直送する山形の田舎そばです。ごまダレも用意しているので、ぜひ賞味ください」と佐藤暢店長。お洒落な居酒屋風、約25席という店内。壁には筆文字のメニュー板や、希少銘柄の地酒などが並んでいる。
聞けば、店名の「やまなし」は、宮沢賢治の童話にちなんだもので、水の幸・山の幸をたっぷり振る舞いたいとのこと。極太平打ちのそばは、食べ応えがあり、梅干しやごまダレもよくマッチする。そばにチャーシューがのる「ラー油つけ蕎麦」も絶妙な味。させにこれからの季節は、温かい「鶏蕎麦」や「明太とろろ蕎麦」などもいいだろう。さて居酒屋タイム。まずは三陸の恵みで一献といきたい。
店長イチオシが、脂ののった八戸産とろさば。お造り、塩焼き、しめさば、燻製、アヒージョなど、食べ方も多彩。石巻の殻付き生かき、仙台麩のおでんや三角油揚げ、いぶりがっこチーズなど、郷土の味も見逃せない。その料理に合う日本酒は常時10種類程度そろい、その日の「隠し酒」は、何が登場するかお楽しみだ。中心街の裏路地にあって、昼も夜も人通りが多い土地柄。女性やサラリーマン、年配客など幅広い年代がやって来る。田舎そばの醍醐味と活きのいい魚介類、そして酒。気の置けない友を誘って出かけたい。