大勝食堂(川崎町前川)
川崎役場に近く、大正5年創業という老舗。「そば粉と卵、米は100%地元の農家から直接仕入れています。野菜などの食材も、できる限り町内産で...」。4代目店主の渡邊吉昭さんが語る。代々そばは、ラーメン、うどんの自家製麺にこだわり、渡辺さんの代からは手打ちそばも始めたという。二八の割合に打つそばを「鴨ざる」でいただいた。熱々の鴨汁に、冷水で締めたそばをくぐしてすすり上げる。
香ばしく濃厚な旨味と、しゃきっとした食感のそばの旨みが贅沢に融合。なんとも箸が止まらなくなってしまった。町内で盛んに栽培するそばの品種は、コシがあり噛んで美味しいといわれる「階上早生」。石臼で挽いた粉を細打ちにしており、そばそのものを楽しむなら「ざるそば」もいい。秋の新そばはもちろん、評判なのが3月の「寒晒しそば」だ。収穫したそばの実を青根地区の川音川に2週間浸し、寒風に晒して干す。
甘みが増し、そば好きにはたまらないという。その上、早生種などで夏の新そばもあるというから期待が膨らむ。さて、他のテーブルには様々な料理が運ばれ、どれも彩りよく美味しそう。「勝ラーメン」は、魚介類やコーン、野菜が盛沢山で、みそ味ながらもあっさり。スープを煮干しと野菜で取ると聞き、納得だ。かつ丼や定食類など、メニューは食欲をそそるばかり。「なかなか出歩けない状況ですが、精一杯の味を用意してお持ちしております」と、渡邊さんはにこやかに話していた。