鱈ちり
魚へんに雪と書いて「鱈(たら)」と読むこの漢字は、雪が降るころに美味しくなる魚であることが容易に連想されます。特に美味しくなるのが産卵前の11月から1月にかけてで、この時期の鱈は「寒たら」と呼ばれています。一般的に店頭に並ぶのは生たらと塩たらが多いようです。生たらは北海道産が多く、漁港別では石巻が上位の水揚げを誇っています。また、塩たらはアラスカ産の原漁を加工したものが中心で、全国的に見ても宮城県の石巻と塩釜の生産量が最も多く、日本各地出荷している一大産地となっています。
和・洋・中どんな料理にも合うたらは、鍋やたらちり、湯豆腐、フライなどしても、身くずれしにくい塩たらがお勧めです。離乳食にも用いられるほど消化がいいたらは、ビタミンAも含まれ、喉や鼻の粘膜を守り、風邪を引きにくくしてくれる、この季節にうってつけの食材です。寒さを吹き飛ばす温かいたらちりを是非お勧めします。材料は、たらの他に、白菜、九条ネギ、にんじん、しゅんぎく、大根、しいたけ、ちくわ、豆腐、みずな等が主なものですが、お好みで他のものでも違和感がありません。
日本海には、たらの仲間が90種類以上いますが、一般的に流通しているのはマダラ、スケソウダラ、コマイ(氷下魚)の3種類で、白身のあっさりとした味です。白子はもちろん、中骨や肝、エラなど、アラまで食べられる、捨てるところがない魚です。それに淡白なのに旨味が多く、とても美味しいのがたらの特徴です。これは旨味成分であるイノシン酸やグルタミン酸が豊富なためで、さらに脂肪がすくないのでお年寄りや胃腸の弱い方にもやさいのが魅力です。繊維タンパクが大半なのでほぐれやすく、加熱してもかたくならない消化のいい魚です。