鳥料理 友福丸
東日本大震災前は、石巻市街を流れる北上川河畔にあった友福丸は、昭和の和風建築で、店内も風情がありました。石巻沿岸で獲れる活魚を中心にした海鮮料理が定評で、特にウ二ご飯が人気メニューでした。その店が、あの津波にのまれ流出してしまいました。それでも、逸早く再生を模索し、2011年5月には支援を受けたキッチンカウターで営業をはじめました。しかし、思うように調理するのが難しく、7月に石巻観光物産センター(ロマン海遊21)内のキッチンを借りて、弁当や総菜を作って販売することにしました。
そして、同年9月には、飲食できる店舗を持ちたい思い、現在地でトレーラーハウスの店を再開するに至りました。店内は20人ほどが入れる広さがあり、外にはテラス席も設けました。生きのいい魚介類を味わってほしいという思いを再び実現できることになったわけです。店主の安倍洋平さんは、東京で会社勤めをしていましたが、災禍を機に後継ぎとして帰郷しました。「一から勉強しながら店の運営に努力しています。いい食材、腕のいい板前のお陰で、料理の美味しさは変わりません。通販も行っているので、ご自宅で味わっていただきたいですね」とのこと。
石巻港から仕入れた近海物の魚介類を主に使ったメニューは、ウニやイクラ、マグロ、エビ、ホタテなどを盛りつけた海鮮丼各種をはじめ、エビや穴子の天丼、焼き魚や刺身定食、フィシュコラーゲンで固め冷凍したウニに湯を注ぎ、身をほぐしていただくウニ茶漬けなど豊富に揃っています。冬は出身地である田代島のカキ、春からは生ウニと季節ごとの旬の味が楽しめます。石巻ならではの海鮮料理「友福の味」は今も健在です。