合格祈願の「釣石神社」
北上川が太平洋へと注ぐ河口近く(石巻市北上町十三浜)に、大震災後、特に有名になった釣石神社があります。この神社は、山の中腹から突き出た周囲約14mの巨岩を御神体としています。宮司の岸浪均さんによると、「もともとは釣山神社」と言われていたそうです。それにしても不思議な光景で、どうしてこんな丸い巨岩が山の中腹に、突き出ているのか不思議です。「ここは、1億数千年前は海でした。長い時間をかけて波が削り、磨き上げて、あの形になったのでしょう」とも話しています。
悠久の時の中で神がつくり出したとしか思えない光景で、江戸時代の封内風土記(ほうないふどき)にも、「ふたかもこれを釣り揚げるがごとし(中略)故に土の人はこれを号して釣石大明神という」と記述がある。人々の驚きは今も昔も変わりないようです。"落ちそうで落ちない巨石"は、東日本大震災でもびくともせず、現在は県内ばかりではなく北海道から沖縄まで、全国の人々が合格祈願で参拝にやってくるという。土・日ともなると復興支援のバスツアーで来られる人もいるそうです。
釣石神社の祭神は天児屋根命(アメノコヤネノミコト)で、学問の神様でもあるという。170段ほどの石段の先に、スレート(雄勝石)の屋根を冠した社殿があり、小さいながらも厳かな佇まいを見せています。石段の途中から見晴台へ向かうと、復興工事が進められている北上川沿岸と、太平洋が一望できます。津波はこの階段の途中まで来たそうです。現在は仮の社務所に御守りなどが置かれていますが、なんとその9割が合格祈願の参拝だそうです。