La Casa del Caffe BAL MUSETTE
品質の高いスペシャルティコーヒーが注目されるようになり、「シングルオリジン」はコーヒー愛好家に限らず幅広く知られるようになりました。この背景には輸送や品質管理の大きな進歩があります。船の中で大きくダメージを受けた豆の風味を補うため、複数の豆をブレンドすることや深い焙煎が必須な時代が長く続いていましたが、現代では港を出た時とほぼ変わらない状態で日本まで届くようになっています。そのおかげで高品質のコーヒーが日本でも楽しめるようになり、近年は「浅煎り」や豆が持つ本当の酸味や甘みなどという新しい味わいが日本人にも受け入れられルようになりました。家庭で行う抽出は「透過式」が一般的だと思います。必要なコーヒーとお湯の割合は「1:15」。
コーヒーが20gの場合はお湯が300gとなります。はかりで計量すると良いでしょう。この湯を「蒸らし2:抽出3」の割合で注いでいきます。湯300gの場合、60gずつ5回に分けるというのがわかりやすいでしょう。最初の120g(60g×2)が蒸らしパート、残りの180g(60g×3)が抽出パート、となります。テクニックに関係なくおいしく淹れることができ味にぶれがない方法です。近年は家庭でも使える専用の器具も充実してきました。スペシャルティコーヒーを扱う専門店は、品質を確かめるための「カッピング」を行うますが、このとき浅煎りにしたものを粉にして湯に浸します。
これも「浸漬式」と同様の方法で、豆の状態もよくわかり品質を確かめるには最適です。時間の経過とともに、風味がポジティブに変化するコーヒーこそが高品質の証です。生産者とロースターがつながるようになって、このような豆も多く生まれています。このように生産方法、輸送、品質管理、焙煎、抽出方法まで、時代と共にコーヒーは進化してきました。コンペティションなどでは改めてブレンドを見直す動きもみられていて、質の高い豆でつくるブレンドの魅力が今後ますます高まっていくことと思います。ワインのペアリングのような、マリアージュを楽しめるブレンドも提案できる時代になってきているのではないかと感じています。