奥州仙臺七福神巡り えびす神社 (1) (青葉区一番町)
唯一の日本出身の神様は、実は賑やかな街の中に祀られています。ここは仙台の老舗デパート藤崎。いつも華やかな店内を見て回り、晩酌お供のおつまみなどを買うのですが、いやいやいけません。今日の目的は別。エレベーターで屋上に上がると小さな、だけどとてもきれいに手入れされた社がありました。藤崎えびす神社です。藤崎百貨店の創業は古く、200年以上前の文政2年(1819年)まで遡ります。この日は広報担当の高橋悦子さんにお話を聞くことが出来ました。
初代社長である四代目藤崎三郎助さんが大町二丁目一番地で「得可壽屋(えびすや)」の屋号で呉服店を創業したのが始まりです、とのこと。そのため、その名の通り「えびす様」を店のシンボルとし、また氏神さまとして深く信仰してきたといいます。そういえば、店内では優しい顔で釣竿を持ったえびす様のポスターをよく目にするし、2年前から日本出版販売と連携して始まったオンライン・ブック・ストアの名称も「えびす文庫」です。いかにえびす様を崇敬しているかがわかります。
現在の藤崎えびす様には、昭和7年(1932年)の新館増築を機に、兵庫県の西宮神社から勧請された歴史があります。ちなみに日本では「えびす様」には二つの系統が存在し、一つめがイザナギとイザナミという夫婦神が最初に生んだヒルコ説。ヒルコは不完全な神様「不具の神」が転じて「福の神」となったとされます。この説でえびす様を祀っているのが、お正月の福男選びで有名な兵庫県西宮市の西宮神社です。二つめは、オオクニヌシの息子コトシロはヌシだという説。古事記の中では釣りをする姿で登場し、その説で祀られている代表格は、大阪七福神の「えべっさん」として親しまれている大阪市浪速区に鎮座する今宮戎神社です。