支倉庭(川崎町支倉)
廃校となった旧支倉小学校をリニューアルした観光交流施設「イーレ!はせくら王国」。尖塔の時計台がモダンな建物の一角を占めるのが支倉庭だ。店内と続くデッキの席は開放的で居心地がいい。広い校庭の周囲は桜の木が並んで木陰を作っている。目の前のすいせんロード(県道119号線)を挟んで田んぼには稲が延び、山は緑が濃い。昔から変わらない里の風景に気持ちがなごむ。
地名の由来となった支倉常長は慶長遣欧使節としてヨーロッパに赴き、日本人で初めてチョコレートを食べた人物ともいわれる。その説のちなみで、支倉庭が使用する食材がカカオ。自慢の品はカカオ入りの「オムカレー」。独自調合のスパイスにカカオを加え、カカオニブ(ローストしたカカオ豆を砕いたもの)も散らしてコクのある味わいに仕上げている。オムライスは、ひとめぼれの白いご飯を卵がふわりとつつんでいる。付け合わせの温野菜は塩味であっさり。
サラダを含め、野菜や卵など食材は主に地元農家から仕入れており、新鮮さは抜群だ。スイーツのおすすめは「チョコレートプレート」。ビター、抹茶、ほうじ茶と3種のあじで、一口サイズのキューブ型が愛らしい。合わせて飲みたいのはカカオティ。チョコレートは隣の農産物直売所で販売しているので、お土産にするのもいい。支倉の地の歴史と風を感じながら、美味しいひとときを過ごせる場所である(現在は土曜・日曜・祝日営業)。また、店の前に広がる里の風景ものどかなうえ、周辺には支倉常長の墓所がある円福寺や居城だった上楯城跡もあるので足を伸ばしてみるのもいい。