里山トレッキング-鎌倉山
鎌倉山は、青葉区作並にある岩山だ。ロック・クラミングの聖地で、昭和初期に東北帝大の学生たちによって拓かれた。彼らはここで腕を磨き、やがて谷川岳の不可能といわれた壁を登った。登山史上のレジェンドとなったのである。作並駅から東へ行くと、北子原の集落が途切れた辺りに一軒家がありそこから北へ細い道を入る。
目指す鎌倉山が圧倒的に聳えており、個人的な感想だが、むかしあんな岩場をよくもがむしゃらに登ったものだと我ながら感心し、また呆れもする。まもなく踏切のない仙山線をわたると、ふるさと緑の道がはじまる。標識はまったくなく、心細いながら湿った道を進むと、右手に「鎌倉山登山入口」という手作りの標識が見える。道は鎌倉山の岩場を避け、裏側の小さな沢状を登って行く。この辺りは4月頃には、一面のニリンソウが咲き乱れるところ。
やがて尾根の上に上りつめるとそこから南へ、100m足らずの急な登りとなる。木の枝をつかみ、ときどき取り付けられたロープに頼りながら一所懸命登っていく。ふいに前方のヤブがなくなると、そこが頂上である。眼下には、赤煉瓦に輝くニッカウヰスキーの蒸留所が見え、その奥は戸神山504mがとんがり帽子を見せている。西の方には圧倒的な存在感を誇る大東岳が聳えており、高所恐怖症の人なら足が震えるかもしれない。